実環境とバックテストの結果の差異に関する考察

EAの検証を行っていると、バックテストと実環境で結果が異なるという現象に遭遇します。

なぜこのような違いが生じるのか、その原因と対策について考察します。

主な原因としては以下のようなものが考えられます。

  • 1. ティックデータの精度
  • 2. スプレッドの違い
  • 3. スリッページ
  • 4. 約定拒否
  • 5. 時計のずれ

順番に解説していきます。

1. ティックデータの精度

MT4/MT5のバックテストは、使用するティックデータの精度に大きく依存します。「毎ティック」モードで行う場合でも、実際の市場で発生する全てのティックを完全に再現することは困難です。特に無料で入手できるティックデータは、より洗練された有料データと比較して精度が低い傾向があります。

2. スプレッドの違い

バックテストにおけるスプレッドは固定値または履歴値に基づいており、実環境で発生する変動スプレッドを正確に模倣するわけではありません。特に重要な経済指標発表時などのボラティリティの高い時期には、実際のスプレッドが一時的に大きく拡大することがあります。

3. スリッページ

バックテストでは、注文が希望価格で即時に約定すると仮定されることが多いですが、実環境では特に市場の流動性が低い時や価格が急変する場合にスリッページが発生します。これにより、予期しない価格で約定し、収益性に影響を与える可能性があります。

4. 約定拒否

バックテストでは全ての注文が約定するという前提で計算されますが、実環境ではブローカーが特定の状況下で注文を拒否する場合があります。これは、特に高ボラティリティ時や流動性の低い市場での取引に影響を与えます。

5. 時計のずれ

バックテストでは時間が正確にシミュレートされますが、実環境では取引サーバーとローカルコンピュータの間に時計のずれが生じる場合があります。これにより、特に時間に依存するロジックを持つEAの場合、予期しない動作をする可能性があります。

対策としての考え方

これらの差異を考慮するために、以下のような対策が考えられます。

  • 高精度のティックデータを使用する
  • バックテスト時にはより広めのスプレッドを設定して検証する
  • スリッページを考慮したロバストなロジックを設計する
  • デモ口座での検証を十分に行ってから実口座で運用する
  • 初期段階では少額での運用で様子を見る

当社では、こうした問題を十分に理解し、信頼性の高いEAを提供するよう努めています。

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